COLLABORATION IN ART

華やかな色が湧き、あふれ出す、カラフルなイラストレーション。
利光春華
TOSHIMITSU HARUKAイラストレーター

http://www.haruka-toshimitsu.com/

2004年 東洋美術学校グラフィックデザイン科を卒業後、アパレル会社に勤務。

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アパレルカタログの構成 / デザイン、誌面媒体 純広告 / 記事広告デザイン、Tシャツのプリントグラフィックデザインを担当。イラストレーターとしても活動しており、2008年に独立。現在はファッションを中心に、プロダクトやイラストレーションなどの仕事に携わる。12月に初の著書となる『Ribbon』(上ノ空刊)を刊行。

髪の毛がふわふわとした愛らしい女の子のイラストレーションや、動物や植物たちがカラフルに表現されたユートピアのような世界を描く、イラストレーターの利光春華さん。普段のお仕事はクライアントワークが多く、複数のタッチを相手の要望に応じて使い分けている利光さんですが、今回お願いしたのはご自身の作品。「最近になって、自分が描きたい絵と求められる絵が一致してきた」という利光さんに、創作についてお話いただきました。

INTERVIEW

仕事観

アパレル会社で養った
デザイン感覚が、
イラストの仕事に生きている。

──普段のお仕事を教えてください。イラストレーターとしての仕事が多いのですか?

独立して9年目になるのですが、一応肩書きはイラストレーターとしています。でも、案件によってはデザインからやらせてもらうこともあるんですが、イラストのみの仕事の方が多いですね。いろいろなタッチがあるのは、独立したての頃にクライアントによって絵を描き分けていたんですが、それらがだんだん大まかなジャンルになって定着していきました。

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──アパレル会社にお勤めだったそうですが、会社員時代はデザインを担当されていたのですか?

そうですね。グラフィックデザイン部門で広告や、洋服のプリントのグラフィックとか、店舗の内装の手伝いやディスプレイも担当していました。デザインを学んでいたのですが、私が学生の頃は雑誌とかであんまりイラストを使っているものがなくて、イラストの世界ってすごく狭いように感じていたんです。友人たちは、広告方面やデザイン会社に就職しましたが、なんか違うと(笑)。もう少し自由にデザインが扱えないかなと思った時に、ファッションだったら紙の上だけじゃなくて布や立体になるので楽しそうだと思ったんです。でも、働いていくうちに、絵だけで食べていきたいなと思って、独立しました。アパレル会社で身に付けた感覚は、イラストにも生きているんじゃないかと思います。



──どんな画家やクリエイターが好きですか?

自分で見る絵としては、どちらかというとダークな世界が好きなんです。有名なところで言うと、ダリとかシュルレアリスムの作家ですね。夢とか無意識、深層心理を描いているような絵に惹かれます。あとは、人と動物が合体しているような、神話的な絵も大好きです。でも、自分でそういう世界の絵を描こうとすると、ハッピーな感じになっちゃうんですよね(笑)。

おサイフケータイについて

お金は自分の未来を作る。
おサイフケータイは未来のかたち。

──描いていただいた絵についてお伺いします。マークが小鳥の止まり木になっていてすごく素敵です。絵の構想について教えてください。

おサイフケータイって聞いたときに、ちょっと未来っぽいなと思いました。お金という硬貨や貨幣がなくなってデジタル化された世界ですよね。さらに、お金を払って何かを買うことって、未来を買うことなのかなと思ったんです。何かを選択してお金を払って手に入れる。たくさん買い物をして、自分の世界を作り上げていくような。すべての買い物って、自分の未来を作ることなんだと思ったんです。なので、現実世界の延長線上にある自分の理想とするユートピアのような世界がいいなと思いました。

──利光さんの絵はすごく色がキレイだというイメージなんですが、その色彩感覚というのはどこからきているのでしょうか?

すぐにパステルカラーとか使いたくなっちゃうんですよね(笑)。グラデーションはよく使う表現で、何かを一色で塗るっていうことはあんまりありません。最近思い出したのが、中学校の時の美術の授業でグラデーションを塗るという課題があって白から赤へのグラデーションを塗るというものでした。その時、私は間違えて、クリーム色と赤の絵の具を使ってしまったんですね。でも、クリーム色から赤へのグラデーションが、すごくキレイで! 中間色の美しさというか。たぶん、それから白の絵の具を使わなくなったんだと思います。グレーからのグラデーションも好きなんですよね。だから、白い絵の具が全然減らないんです。

──今回はおサイフケータイをイメージした絵を描いていただきましたが、おサイフケータイはご存知でしたか?

名前は聞いたことがあるのですが、実は使ったことがなくて。電子マネーを使うこと自体には、まったく抵抗はないので使ってみたいのですが、まだ実行に移していないというのが現状です。でも、先日財布を落としてしまって、銀行のカードやクレジットカードを止めたりして大変な目にあって。スマホだけで決済とかできれば、便利だろうなあと思っていました。Apple Watchは使っているので、きっと使えるはずなんだろうなと思いつつ。動画とかで登録の仕方を教えてもらえたら、見て登録すると思います(笑)。



ARTWORK ARIMOTO YUMIKO

ARTWORK

COMMENT

”未来を買う”というテーマで、ユートピアの世界を描きました。お金でモノを買うという行為は、同時に自分の未来を買う行為でもあり。未来の世界がユートピアで満たされたらいいなと思います。

今後の活動

初の著書となる
ビジュアルブックを出版。
イラストレーターの活動が広がる。

──もうすぐ初のビジュアルブック『Ribbon』が出るそうですが、どんな内容か教えてもらえますか?

以前に企業のカレンダーを制作した際に、その絵をすごく気に入ってくれた元ダ・ヴィンチ編集長の横里隆さんから、本を作ってみないかというお話をいただいたんです。ちょうど自分の中でも、次はオリジナルなものを描いていきたいなと思っていたタイミングだったので、挑戦させていただくことにしました。絵は、鳥が春夏秋冬を旅して最後には天空まで飛んでいくという内容で構成されています。文章を書くのは初めての挑戦でしたので、試行錯誤しました。本当に編集者の方と、デザイナーさんと皆さんと一緒に作り上げた一冊だと思います。

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──壮大な世界ですが、創作される際のプロセスを教えていただけますか?

絵コンテを描いて流れを決めた後に、絵に登場する鳥や花や植物のパーツを描いていきます。パーツをスキャナでパソコンに取り込んで、サイズを変えたりレイアウトをするという流れです。1枚絵を一気に描くという方法もあるのだと思いますが、アパレルの仕事をしていた時から、パーツをスキャンしてコンピュータ上で加工するのに慣れてしまっていて。最初から個別に描いておいて、鳥の位置を調整したり、視点を変えたりして。画材は水彩絵の具を使っています。アクリル絵の具を使っていたこともあるんですが、水彩の淡い感じや、にじみとかが気に入っていて。また、制作工程もすごく楽なんですよね。



──今後の予定を教えていただけますか?

このビジュアルブック「Ribbon」の初出版を記念した個展を12月5日から10日まで、原宿のギャラリー・ル・モンドで開催します。また、来年の2月4日には、ちいさなブックフェア“ポトラ”が、桜新町にある桜神宮のホールで行われる予定で、上ノ空ブースにて「Ribbon」の展示販売をします。大切に作ったビジュアルブックを携えて、いろいろなところに出て行けたらと思います。

2017年11月16日 公開

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